まるごとわかる大学基礎講座

入試

2021年度、大学入試が大きく変わりました。受験生の皆さんにとって、2020年度までとは異なる評価基準で選抜され、全国の大学に入学することになったのです。大学入学がゴールではなく、その後の“新たな学び”が不可欠になることを念頭に置きましょう。

2021年度から大学入試が新しい制度に変わったその理由は?

なぜ、入試改革が必要か

大学入試改革は、単に制度の変更だけではありません。急激な変化を続ける日本と世界の視点から、入試改革がなぜ行われるのかを説明します。

急激な社会変化に対応する高等教育の必要性

AI(人工知能)技術、ロボットの進歩で、今の子どもたちが大人になるころには、現在ある多くの仕事が「人間の仕事」ではなくなる可能性が高いとされています(第4次産業革命)。
その反面、集積したビッグデータを解析し、新たなビジネスにつなげられる職業人材も必要になるといわれています。
人口減少が続く中、観光立国としても身を立てつつある日本では、一緒に働くビジネスパートナーとして、また顧客として、これまで以上に外国人と接することが日常となります(多様性社会)。

大学に入りやすくなった
大学入試で学力考査を課さない方式(旧AO・推薦など※)での入学者が私立では半数以上に

2000年以降の大学数の増加と18歳人口の減少によって、大学全入時代(全定員よりも志望者の方が少ない)になり、AO・推薦入試など学力考査を課さない制度で入学する学生が増加しました。
文部科学省は受験生の学力を把握する目的として、AO・推薦入試においても何らかの学力試験を課すことを求めています。

※2021年度入試から名称変更。AO入試→総合型選抜/推薦入試→学校推薦型選抜

高大接続システム改革とは

「変化に対応して自ら課題を設定し、答えのない問題に解を見出し、他者と協調するなどしつつ、実行、実現していくことのできる力が重要。大学入学志願者の能力、意欲、適性等を多面的・総合的に評価するものに転換していくことが求められる」
(中央教育審議会高大接続特別部会第16回資料より抜粋)

「学力の3要素」を確実に育成するため、高校教育と大学教育、それをつなぐ大学入試の3点を改革し、未来に対応できる人材を育成することになったのです。

産業界からも時代に即した人材育成を大学側に要望

日本の大手企業等で構成されている日本経済団体連合会(経団連)が発表した「今後の採用と大学教育に関する提案」(2018年12月)においても、大学卒業後、産業界で求める人材の育成を、次のように大学側に求めています。
経団連の提言では「理系学生の語学力高度化」「文系学生のプログラミングや統計学の学修」など文理融合の推進も求めており、これが【学力の3要素】を問う大学入試へつながっています。

多様な価値観が融合するSociety5.0時代の人材には、リベラルアーツといわれる、倫理・哲学や文学、歴史などの幅広い教養や、文系・理 系を問わず、文章や情報を正確に読み解く力、外部に対し自らの考えや意思を的確に表現し、論理的に説明する力が求められる。さらに、ビッグデータやAIなどを使いこなすために情報科学や数学・統計の基礎知識も必要不可欠となる。
(経団連提案原文)

入試スケジュール

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入試スケジュール

<2021年度より「大学入学共通テスト」がスタート!私立大学も「総合評価型」へ!>
自ら学ぶことができる受験生を評価する選抜へ変わった

学生選考はどう変わったのか
【学力の3要素】【総合評価型】をチェックしよう

「学力の3要素」を問う入学試験へ

「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」
以上を【学力の3要素】といい、大学はアドミッションポリシー(入学者の受け入れ方針)、カリキュラムポリシー(教育課程編成・実施の方針)、ディプロマポリシー(学位授与方針)をもとに、学力の3要素を問う学生選抜を実施します。

学力の3要素

大学入試センター試験から「大学入学共通テスト」へ

かつての大学入試センター試験は2020年1月で終了し、2021年1月から「大学入学共通テスト」が実施されています。
2021年度はそれまでと同じマークシート方式で行われましたが、試験内容は前述の「学力の3要素」を問うものに変更されています。

2021年度大学入学共通テストはコロナ禍の中、行われた

2021年の初回の大学入学共通テストは、1月16日と17日の2日間の日程で、53万人の受験生によって一斉に行われました。新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が11都府県に発令される異常事態の中での開催となりました。
各国公立大学は、大学入学共通テストを第1次試験とし、2月下旬と3月中旬に個別試験を行いました。また私立大学は共通テスト利用入試の場合、これが実質の学力考査であり、個別試験を行う場合は面接や小論文を課す場合がほとんどです。各大学は感染対策や安全確保のため、突然の個別試験の内容変更も行い、Web上での情報更新と受験生への周知に追われました。
このため、受験生はこれまでの受験態勢の変更を余儀なくされるケースも多数生じました。入試方式の多様化で、自分に有利な受験ができるようになった反面、こうした異常事態が発生したため、日程や内容の変更、中止などで多くの混乱の発生し、結果的に本来の実力を発揮できない受験生も多く発生しました。また奨学金申込の締め切り日程なども多くが変更になっており、本来の勉強の他、情報収集に追われる一年となりました。

AO入試→総合型選抜/推薦入試→学校推薦型選抜へ
新たな選考方法も実施

【学力の3要素】を問う新入試の実施に伴い、これまでのAO入試は「総合型選抜」に、推薦入試は「学校推薦型選抜」に名称が変わりました。
さんぽうが全国の大学に実施したアンケート調査によると、これまでの面接や小論文をはじめ、実技のほかに口頭試問や教科のテストなど、新たな選考方法を課す大学も多くみられることがわかりました。
ただし、調査時には【未定】も3割程度ありましたので、志望校の発表に注意し、常に新しい情報を得るように心がけましょう。
(Q1 グラフ参照:2021年1月実施のさんぽうアンケート調査より 以下同)

2021年度入試で課す選考方法について

総合型選抜/学校推薦型選抜とは
主体性や学修意欲を評価する入試

総合型選抜と学校推薦型選抜は、おもに高校三年間の活動実績や目標達成への意欲、また資質といった基礎学力などを評価する試験形式です。
私立大学の入学者の約5割が、昨年度までのAO入試と推薦入試の合格者でしたが、2021年度からは幅広い選考方法を課すことになりました。加えて、エントリーシートやポートフォリオなどの受験者本人が記載した書類もますます活用されるようです。大学によってそれぞれの出願基準や選考方法が異なりますが、大まかに分けると次のようになります。

総合型選抜とは

学力だけでなく、将来の目標や学科適性、学習意欲などを総合的に判断する入試です。出願条件には評定平均値の基準を設けていない大学が多く、各大学の求める学生像(アドミッションポリシー)に基づいて選考されます。

【特徴】
①学校長の推薦は不要。出願要件を満たしていれば受験できる。
②面接や面談、レポートなど大学によって独自の選考方法があるが、今年度からは学力も考慮される。

総合型選抜は出願期間が9月以降、合格発表時期が11月以降となりますので事前にスケジュールをチェックしましょう。

学校推薦型選抜とは

高校時代の活動実績(勉強、スポーツ、課外活動など)を評価する入試です。「一定値以上の学習成績の状況(旧・評定平均値)+学校長の推薦」が出願条件の主流。試験内容は書類審査・面接・小論文・学力検査(大学入試共通テスト)などがあります。

【指定校制推薦と公募制推薦】
①指定校制推薦は大学が指定した特定の高等学校の生徒のみ受験可能。
②公募制推薦は大学が規定する出願条件を満たしていれば、どの高等学校の生徒でも受験可能。

学校推薦型選抜は出願期間が11月以降、合格発表が12月以降となります。

受験生本人が記載した書類も評価の対象に

表現力や主体性を重んじる新入試制度では、受験生本人が記載する書類や、ポートフォリオなどの提出を求める大学が今後増加すると予想されます。活用方法についてアンケート調査をしたところ、以下のような結果になりました。
(Q2 グラフ参照:2021年1月実施のさんぽうアンケート調査より)
グラフの項目の【点数化】とは、提出書類について各大学の評価基準をもとに、他の選考結果に加点をすることです。
その下の【合否判定に活用】も含めて、各大学が重視していることがうかがえます。答案用紙を書くように細心の注意を払って、作成するのが望ましいでしょう。

総合型/学校推薦型選抜における志願者本人が記載した書類の活用について

多くの国立大学の総合型選抜では、大学入学共通テストの受験を課す予定です。
受験生の入学意欲も評価の対象となる選抜形式のため、他大学との併願を認めない「専願」であるかどうかを確認しましょう。

エントリーシート・志願理由書の書き方

総合型選抜合否の決め手
受かるエントリーシートの書き方

総合型選抜において、選考方法を問わず受験生の合否を左右するほどに重要な資料となるのがエントリーシートや志望理由書です。その形式は大学ごとに異なりますが、活動実績や取得資格、志望理由、自己PRなどを求める事例が多く見られます。

また、一次選考(書類審査)の判断基準として使われるだけではなく、面接試験でも使用されますから、しっかりと自己分析をして、相手に伝える文書とすることが大切です。

まず志望理由書の部分は、学校側が最もチェックする部分であると言えるでしょう。
一般的に、その大学を希望する理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ●学びたい学問や研究がある
  • ●将来なりたい職業のための資格取得や就職のため

この大学で、自分の学びたい学問が追求できると感じた、研究施設が充実していて理想の環境で研究に没頭できそう、などはっきりとした志望動機があれば、面接に進んだ場合にでも会話が成立するでしょう。
また、なぜその学問を学びたいのか、理由についても具体的に伝えられるとベストです。ざっくりとした印象ではなく、その学問と関わりがあれば経験談を書くのもよいでしょう。職業についてであれば、ボランティア活動でその仕事をする人との出会いを通して自分が感じたことを書くことで熱意を伝えやすくなります。

また、その大学の教授のゼミに参加したいなど、入学後に行いたいこともエントリーシートに書きたい内容です。実際の大学に入り「何をやりたいのか」「何を学びたいのか」を自己分析してはっきりさせましょう。

ただ、やりたいことばかりや経験談を書き連ねてしまうと、作文のようになってしまうこともあります。書き方は自由ですが、以下のように4部構成にして分かりやすく書くのもよいでしょう。

  • ①なぜその学校を志望したのか
  • ②志望するきっかけ
  • ③志望したきっかけの具体例、経験談、そして将来にどうつなげたいか
  • ④まとめとして、入学できた場合、どのような学生生活を送りたいか

構成を分けることで、自分の意志を伝えやすく、自己分析もしやすくなります。
他にも書き方はありますから、自分にぴったりとくるものを選んで書いてください。

以下はエントリーシートの例と記入見本です。それぞれ記入上の注意点を後述しているので、確認しておきましょう。

書き方のポイント

<エントリーシートサンプル>

  • ①自分の名前は楷書で丁寧に書く
  • ②資格名は略さずに正式名称を記入する
  • ③志望大学の「アドミッションポリシー」を踏まえて、志望動機や入学後の学修計画なども記す
  • ④自分の長所や得意なことを、裏付けとなる理由(エピソードなど)と共に記す

エントリーシートサンプル

一般入試→一般選抜も総合評価型へ

かつての一般入試では、おもに筆記試験の結果で合否を判定していました。新しい「一般選抜」では従来の筆記試験に加えて、調査書や受験生本人が記載する書類、英語の外部検定試験スコアなども入れた【総合評価型】へと移行しています。
一般選抜でも、調査書や受験生本人が記載する書類を評価の対象とする大学が多く、総合評価型に移行していることがうかがえます。(Q3グラフ参照:2021年1月実施のさんぽうアンケート調査より)
前述の【点数化】や【合否判定に活用】がありますので、筆記試験のための勉強だけでなく、高校生活のあらゆる点が評価対象とされていることを念頭に置きましょう。

一般選抜における調査書および志願者本人が記載する書類の活用について

私立大学で増える英語外部試験利用入試

試験当日に「英語の試験を行わない」入試方式が、多くの私立大学では導入されています。受験生の英語力を読み書きのみでは判断せず、外部(民間)試験のスコアでみるというものです。

外部試験とは、英検、GTEC、TOEIC®、TOEFL®、TEAP、TEAP CBTなど、英語力を総合的に判断(読む、書く、聞く、話すの4技能)する試験のことです。
受験生はあらかじめ、外部試験を受けてスコアを獲得する必要があり、大学の各学部で設定した基準スコアを満たせば出願できます。受験生にとっては、志望校の求める英語力を事前に知ることができるほか、試験当日は英語以外の科目に集中して受験ができるなどのメリットがあります。

入試の英語外部試験の利用について

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便利な「地区入試」を活用しよう!
「地区入試(地方試験)」とは、大学の所在地以外の会場で入試を実施する制度のことです。私立大学の約7割が実施していて、地元や近くの地域で受験できるのが何よりのメリット。試験前日の宿泊費や、遠方への交通費などの費用負担も軽減されます。
各大学は優秀な受験生を集めるために、「地区入試」に年々工夫を凝らしていて、便利になっています。自宅近くで受験できる大学を調べてみましょう。
私立大学の半数以上がWeb出願を実施!
Web(インターネット)出願を導入する学校が増えています。受験料の割引や、出願時の記入漏れを防ぐなどのメリットがありますが、選抜方法や学部によっても実施の有無が分かれるので、志望校の志望学部の入試方法を事前に確認することが大切です。